つぶやきデスクの「検索アラート」と自社開発のRPAを組み合わせてXのモニタリングを自動化【導入事例:スカパーJSAT株式会社】

スカパーJSAT株式会社は、宇宙事業とメディア事業を両輪とするハイブリッドな強みを最大限に活かした事業を展開しています。宇宙事業では、16機の通信衛星を活用し、宇宙から海洋まで様々な事業を提供しています。災害地域の衛星通信サービス支援も実施しており、令和6年能登半島地震でもいち早く衛星回線を提供しました。メディア事業では、有料多チャンネル放送「スカパー!」、動画配信サービス「SPOOX」に加え、インターネットや光回線を経由した視聴サービスの提供など多様な視聴ニーズに対応しています。

同社では、つぶやきデスクを2022年1月から活用しています。つぶやきデスクを使った「スカパー!」「SPOOX」の障害監視やリスク管理について、メディア事業部門 経営企画部 戦略チーム長 兼 経営管理部門 経営企画部 西澤 宗貴氏、同 経営企画部 統括チーム 古川 智子氏にお話をうかがいました。

リスク管理としてXのモニタリングのために活用

西澤宗貴氏
スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門 経営企画部 戦略チーム長 兼 経営管理部門 経営企画部
西澤 宗貴氏
※2024年4月1日現在の役職
経営企画部では、どういった業務を担当されていますか?

西澤氏:宇宙事業とメディア事業は事業内容や運営方法が異なります。メディア事業部門の経営企画部は部門内の各部を統括する役目として存在しています。具体的には各部門の予算管理、中期事業計画策定、社内規定に基づいた決裁ルールの整備のほか、従業員の声を吸い上げて経営陣に伝えるといったような業務も担っております。


リスク管理も我々の業務の一つで、今回つぶやきデスクは、Xのポストをモニタリングするために活用しています。


つぶやきデスクを導入した経緯について教えてください。

西澤氏:スカパーでは衛星放送を利用した130以上のチャンネルのコンテンツの放送をはじめ、配信サービスも提供しております。サービス提供を支える放送・配信設備には監視センターがあり、障害や不具合などが発生していないかどうか常時監視しています。また、お客様の窓口となるカスタマーセンターでも、お客様からのお問い合わせから問題が発生していると判明した場合は、すぐに対応できる体制を整えています。


しかし、カスタマーセンターへの問い合わせでも把握できない不具合などが発生している可能性もあり、そうした声を集めるにはどうしたらいいかを社内で議論しました。その時に、SNS、特にX(旧Twitter)で問題がつぶやかれているのではないかという結論になり、Xの監視を行うことになりました。


ただ、24時間体制で人員を投入するリソースがなかったので、どういう手法であれば自動的に収集できるかを考え、つぶやきデスクを導入することになりました。


つぶやきデスクの導入にあたって、他のツールとの比較などは行いましたか?

西澤氏:はい、複数のツールを調査し、比較検討した結果、お値段が最も安価で、必要な機能がそろっていること、多くの企業の利用実績があり信頼できることから、つぶやきデスクの導入を決めました。

「検索アラート」と自社開発のRPAを組み合わせて運用

スカッピーのぬいぐるみ
スカパーJSAT株式会社
メディア事業部門 経営企画部 統括チーム
古川 智子氏
つぶやきデスクを活用したXの監視は、どのように行っているのでしょうか。

古川氏:つぶやきデスクの検索アラートに、監視をしたいメインサービスである「スカパー」、「SPOOX」の2つのキーワードを設定して、このキーワードが含まれるポストを1時間に1回、一括して抽出しています。


その後、弊社で構築したRPA(Robotic Process Automation)で、障害に関連するポストをカテゴリ別に抽出します。さらにカテゴリごとに担当部署がいるので、抽出した内容をメールで各部署に送信するところまでを自動化しています。メールには、抽出したポストのアカウント、ポストの内容が一覧で見られるようにしています。その後の対応は、各部署で行っています。



SNSモニタリングの仕組みについて
つぶやきデスクで広くポストを抽出し、その後RPAでさらに抽出かつ分類しているのですね。どんなカテゴリを用意して、どんなキーワードで抽出しているのでしょうか。

古川氏:放送関連の障害については、一例ですが「映らない」「急に」「突然」などのキーワードを設定しています。Xでは、口語で投稿されるので「うつらな」「うつんな」など、可能性のある言葉を収集できるように設定しています。


また、最近弊社を騙るなりすましアカウントやサイトも出てきているので、発見したお客様がつぶやきそうなワードを設定し、その情報も捕捉できるようにしました。


カテゴリにあわせて丁寧にキーワードを設定して運用されているのですね。

古川氏:はい。運用しながらキーワードの追加や変更をして精度を高めています。例えば以前は「見られない」を入れていましたが、「契約していないので見られない」というポストが入ってしまうので外して、「落ちている」「再生できない」というキーワードに変更しました。


まだまだと思うこともありますが、人が張り付いて監視していなくても、抽出してアラートが送られるので便利です。

年間で1701時間相当の単純作業からの解放を効果として実感

X経由で障害を発見したことはありますか?

西澤氏:障害監視をしっかり行っているので、先にX経由ということはまだないですね。ただ、障害が発生した場合は、該当の投稿が増えるので、連動していることは確認できています。


古川氏:なりすましアカウントやサイトについては、カスタマーセンターにお電話される方はほぼいらっしゃらないので、Xで発見できたケースがあり、すばやく対応できたと思います。


つぶやきデスクを導入前は、Xの監視やチェックは行っていましたか?

西澤氏:マーケティング部門では、ユーザーの声などを集めて分析していますが、監視・リスク管理の観点からの収集は行っていません。つぶやきデスクを導入したからできるようになりました。


つぶやきデスクを導入した効果はいかがですか?

古川氏:ずっと張り付いて監視する必要がないので、年間で1701時間相当の作業削減ができたと見積もっています。また、自動で抽出できるので単純作業から解放されたと評価しています。


西澤氏:障害検知として使っているので、もっとリアルタイムで抽出できるとありがたいです。1時間に1回という設定は、つぶやきデスクのサーバー側の設定で変えられるということなので、12分に1回などにすれば、リアルタイムに近いタイミングで問題を把握できるという期待があります。


つぶやきデスクは、4月以降に大幅アップデートがあるということを聞き、大いに期待をしています。