昭和29年創業の株式会社幸楽苑は、らーめん店「幸楽苑」を国内及び海外で展開しています。国内は17都県に359店舗があり、気軽に立ち寄れるらーめん店として人気を博しています。
2024年9月に創業70周年を迎えたことを機に原点回帰し、おいしくて価値ある商品を清潔な場所で提供し、お客様に喜んでもらうことを目標に事業に取り組んでいます。定期的にスポット商品と呼ばれる期間限定商品を出しながら、よりおいしい商品開発を行い、また夕方以降は中華ダイニングメニューを提供するなど、中華料理にも力を入れています。
同社では、2019年から「つぶやきデスク」を活用しています。X(旧Twitter)の運用やキャンペーン管理などについて、広報IR部 部長 佐々木 淳氏にお話をうかがいました。
目指すはフォロワー20万人。Xをきっかけに幸楽苑を知る人を増やしたい
広報IR部 部長
佐々木 淳氏
※2024年10月23日現在の役職
佐々木さんは、普段どのような業務を行っていますか?
広報・IR部の部長として、幸楽苑が対外的に発信する情報全般の企画・管理を行っています。プレスリリース、IR情報などのほか、X、Instagram、LINEなどのSNS、公式アプリでの情報発信も担当しています。
Xの運用はいつから開始されましたか。
会社としてXのアカウントを開設したのは2017年4月です。お客様に情報を届けるために開始しました。その後、何度か担当者の変更があり、私が担当についたのが広報・IR部の部長になった2023年10月からです。現在は私と部下の2名体制で運用しています。
Xの運用目的やKPIについて教えて下さい。
SNSでの企業公式アカウントには、親しみやすさが求められます。発信する情報で、お客様を楽しませること、喜ばせることが重要なポイントだと考えています。うまく発信できるように努力しながら、まずは幸楽苑というお店、会社を知ってもらう、見てもらうことを念頭において運用しています。
KPIはフォロワー数で、年度内にフォロワー数20万人を目指しています。他社の公式アカウント数と比べるとまだまだ少ないですが、私が担当するようになった1年で約1万人のフォロワーが増えました。
ポストのインプレッションもKPIにしています。ここ1年間では70周年記念のプレゼントキャンペーン第4弾のポストがもっとも反響が大きく、インプレッションが57万超えとなりました。こうしたキャンペーンをきっかけに多くの人に幸楽苑を知ってもらいたいですね。
運用はすべて社内で実施。Xは特性を活かして、楽しく柔らかく情報を伝える
投稿内容はどのように決めていますか?
定期的に期間限定のスポット商品が発売されますので、その販売期間は新商品を押し出しています。また、イベントや企画の年間スケジュールにあわせて、その告知も行っています。広報部として、対外的に配信するプレスリリースなども担当していますので、それを元にXの投稿も考えています。
画像作成、投稿文案の作成などはすべて社内で行っており、他の部門とも調整しながら、投稿を作成しています。スポット商品についても、ただお知らせするだけではつまらないので、クイズ形式を織り交ぜてみたり、フォロワーを楽しませるように工夫しています。
Instagram、LINEとはどのように使い分けていますか?
SNSによってユーザーの人数や属性、世代が異なるので、当社の顧客層とあわせて考えて、同じ内容を伝えるにしても、SNSにあわせて微妙に柔らかさ、固さを変えたり、投稿頻度を変えたりして調整しています。そのうえで、ユーザーの反応を見ながら、表現を模索しています。Xが一番やわらかくて、親しみやすさを出すようにしています。
投稿で意識していることはありますか?
KPIは、フォロワー数、インプレッション数ですが、何よりも大事なのは、フォロワー、あるいは幸楽苑の来店者に喜んでもらえることです。Xで告知した内容が、実際に店舗でその通りの状態で提供されているのか、店舗のオペレーションが実現できているかを意識しています。店舗運営は別の部署になりますが、部門間で連携して両輪でやっていくことが重要だと考えています。
70周年記念のポストは様々なものがありますね。
会津若松で創業してから70年の間に、幸楽苑以外の業態を持っていたこともありました。その店のノスタルジックな写真を投稿して、お客様の思い出を聞いてみたところ、多くの方が過去の思い出を語ってくれました。幸せで楽しい時間として記憶に残っていることは嬉しいですね。
Xの運用は店舗の売上増加にもつながっていますか?
そこは簡単には因果関係を証明できないところではありますが、最近は特に新商品の売上が好調です。ここ数年は、新型コロナウイルスの影響で業績が不調でしたが、今年度は回復してきており、Xの活動なども後押ししているかなとは感じます。
Xでの幸楽苑の言及はすべてチェック。想定外のコラボに発展することも。
X内での幸楽苑についての投稿などはチェックしていますか?
はい。Xに限らず幸楽苑に関するお客様からの発信内容は目を通すようにしています。Xの場合は、つぶやきデスクの「検索フォルダ」で幸楽苑を指定して投稿をみています。
もちろん、中には厳しいご意見もあります。そういったご意見については、関連部署に情報を共有して、改善するようにしています。
「おいしい」「また食べたい」など嬉しい投稿については、「いいね」を押して反応するようにしています。必要であれば、時間の許す限り返答をすることもあります。例えば2024年3月から「メガたんめん」という商品が再販され、完食したとポストされている方には、表彰状を送りました。メガたんめんは画像のインパクトも大きいので、話題になりました。
昨年のことですが、ある人気マンガで、幸楽苑のことが取り上げられていました。そのマンガの公式アカウントのポストを引用リポストで紹介したところ、この投稿も多くの人に見てもらい、反応をもらうことができました。
また、あるキックボクサーの選手が「後楽園」のことを「幸楽苑」と誤字をしてポストしていたことがあり、それをきっかけに試合後にファンに幸楽苑の食事券を配るという企画に発展したこともありました。
SNSの運用効率化につぶやきデスクが貢献。今後の機能追加にも期待
つぶやきデスクで使っている機能は?
導入して6年目になりますが、私が担当するようになった昨年度よりSNSの発信に力を入れていくという方針になり、つぶやきデスクを継続して活用しています。予約機能を活用していますし、キャンペーンを実施した時は、応募者の管理、当選者へのDM一斉配信などを使っています。つぶやきデスクは業務効率化に貢献しています。
Xの投稿分析機能は振り返りに使って運用改善につなげています。ただ、全機能を使いこなしているわけではないので、早くつぶやきデスクのレベルに追いつけるようにしたいですし、アユダンテさんから情報の提供などがあれば助かります。我々ユーザー側と提供するベンダー側が連携することで、双方にとってよい関係が築けると思います。
そういった情報提供も行っていきます。その他アユダンテの支援などはいかがでしたか?
わからないことがあると、遠慮なく電話で質問しています。いつも担当者が真摯に回答してくれるのでありがたく思っています。
Xを運用する中で悩みや課題はありますか?
日々悩んでいます。表面上のSNSマーケティングでは意味がなく、発信した内容が現場で正しく運用されていることが最も重要で、そこで初めてお客様に喜んでもらえます。お店の実力を上げながら、お客様に価値ある商品を届けられるように、プロモーションしていきたいですね。そこが一番大事で悩んでいるところですが、実現できれば数字にも現れてくると思います。
今後取り組んでみたいことはありますか?
他社のアカウントを見ると、まだ幸楽苑のアカウントは伸び代があるなと思います。高いレベルに持っていけるように努力したいです。
Xに限らず、美味しさを伝えるには商品そのものの力が必要で、画像だけでなく動画も活用して伝えていければと考えています。
つぶやきデスクに期待することはありますか?
今後AIが様々な業務で使われると思います。人間の能力にも限界があるので、いずれ投稿画像や文章の作成をAIが代行してくれるようになるといいですね。そこまでいかなくても、こっちの画像のほうがいいといった提案があると助かりますし、AIが業務を支援する時代になっていくのかなと予想しています。