「公式アカウントを運用しなければ炎上しない」の嘘とTwitter活用のメリット

*この記事はITジャーナリスト高橋暁子さまに寄稿いただきました。

コロナ禍で、インターネットやSNSの利用時間は全年代で増加傾向にある。外出自粛などで友人・知人などと気軽に会えない環境の中、インターネット通販の利用や、SNSでのコミュニケーションが増えているのだ。

アライドアーキテクツの「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う消費者のSNS利用実態調査 」(2020年4月)によると、新型コロナウイルス感染拡大以後、SNSの利用時間は「すごく増えた」「増えた」を合わせて34.5%が「増えた」と回答している。

中でも利用する頻度が増えたSNSは「Twitter」(67%)であり、LINE(60%)やInstagram(39%)などを抑えてトップとなっている。

SNSの利用時間が増えることで、企業アカウントや投稿への接触機会も増えており、SNSでのプロモーションがさらに重要になっている。

中でもTwitterでのプロモーションは今すぐに手軽に始めることができるおすすめのものの一つだ。今回はTwitterをさらに活用するために、企業アカウントなら関心が高い炎上の避け方と、フォロワー分析・フォローの重要性について解説したい。

炎上は絶対に避けられるのか?

「Twitterは炎上しそうだからやりたくない」という企業は残念ながらいる。確かにTwitterでの投稿で企業アカウントが炎上することはあり、数十万人のフォロワーを抱える人気企業アカウントでも炎上したところはある。

たとえばキングジムのTwitterアカウント(@kingjim)は、執筆現在フォロワー数が41万人を超える人気アカウントだが、2019年11月、下記のツイートを行った。

当初はフォロワーから絶賛されていたが、次第に「自意識に違和感」などの批判ツイートが多く寄せられるように。徐々にネガティブツイートが目立つようになり、炎上状態となってしまった。

確かに炎上は起きている。しかし大切なのは、キングジムは炎上でアカウント運営をやめたりはしていないことだ。その後もツイートを続けており、相変わらず人気の企業アカウントといっていい。

炎上は、必ずしも公式アカウント投稿のせいで起きるとは限らない。たとえば従業員やバイトなどの投稿によることもあるし、企業自体が問題を起こしたりしても起きる。

ユーザーの投稿きっかけで起きることもあり、運用しなくても100%避けるのは不可能だ

炎上は確かに恐ろしいが、致命的ではない炎上であればすぐに鎮火することも少なくない。普段からフォロワーとの関係性ができていれば、大事にはならないことも多いのだ。

消費者の信頼を損ねるなど決定的な炎上は致命傷となるが、そうではないならば恐れすぎることはないというわけだ。

なお近年では、ジェンダー系と差別系がもっとも炎上しやすいテーマとなっている。特に女性性を固定観念で決めつけたり、見た目や年齢などで差別したり、性的に消費しているように見える表現は、たとえ女性を応援する内容であっても炎上しやすくなっている。

料理を作ったり子育てするなどの役割を女性だけに押し付けているように見えたり、露出が多く男性に媚びたような萌え絵を使った炎上例は非常に多いので、特に注意してほしい。

企業アカウントの投稿は、企業の姿勢を反映したものと見られている。エンタメ性なども大切だが、企業アカウントにはそれ以上に、誠実で信頼できること、公平性などが求められている。

企業が差別しているように感じられてしまったらマイナスにしかならないので、ソーシャルメディアポリシーを作成し、チェック体制を整えて、配慮を怠らずに運用していきたい。

公式アカウント作成はなぜ大切なのか

「運用しなければ炎上しない」と考える人もいるが、実はそうではない。たとえば、企業などが公式アカウントを持たないことで弊害が起きることもある。

2019年11月以降、近畿日本鉄道の公式アカウントを騙るTwitterアカウントが名前を変えながら3回出現していることをご存知だろうか。

「近畿日本鉄道【公式】」などと騙り、沿線の観光情報などを投稿する一方で、「汗だく及び、ずぶ濡れの方は乗車お断りします」「男性の方は男子トイレ小便器付近で着替えお願いします」「脱いだ汚れた衣類や下着、帽子などは小便器の中に置いてください」など、明らかにおかしな投稿も多かった。

偽アカウントと報道されたことでアカウントは削除され、被害は報告されていない。しかし、偽アカウント削除後に別のユーザーがそのIDを取得、偽アカウントを作成し、電子マネーの投げ銭を要求する事態も起きている。

企業などが公式アカウントを持たないことで、自社の顧客が騙されることがあるのだ。アカウントを作ると運用しなければならなくなると考えて、作らないところも多いようだ。

しかし、たとえば佐々木希さんは公式アカウントを作っているが投稿はゼロのままだ。公式アカウントを作ることでなりすまし防止となる意義は見逃せないだろう。

公式アカウントを作成したら公式サイトなどにリンクし、「このアカウント以外は当社と関係ありません」などと明記しておくと安心だ。

作成しても無理に投稿する必要はないが、投稿できそうであればぜひ積極的に検討したい。

本人確認が済んでいる影響力の大きいアカウントに与えられるTwitterの認証済みバッヂがほしいと感じたことがある企業は多いはずだ。

過去には自ら申請して付与されることができたが、トラブルによって2017年から新規付与がストップしていた。2021年にポリシーを刷新し、申請再開となる予定なので、希望する場合は積極的に申請するといいだろう。

【つぶやきデスク編集部より】
認証済みアカウントの詳細が知りたい方はこちらのTwitter公式ヘルプページをご覧ください。

フォロワーを分析、見逃さずリプライ・フォロー返しを

SNSでの運用は、実際に投稿してトライ&エラーで学んでいくべきものだ。効果や実績から分析していくことが成功への近道なのだ。

今回も提供していただいたアユダンテの「つぶやきデスク」でツイートやフォロワーの分析をしていこう。

リツイートしてくれたフォロワーを知ることは一番の基本だ。Twitterは匿名で利用しているユーザーが多く、顔写真などもないことが多いため、属性などを把握しづらい。

顧客にフォローされても気づかなかったり、フォロー返しが疎かになることもあるだろう。そこで、このようなツールを使うことで、フォロワーの把握・フォロー管理ができるようになるというわけだ。

「効果分析」→「投稿したツイートの効果」で、各ツイートの効果が見られるようになる。「非公式RT」「公式RT」「URLクリック」「フォロワー増加数」「被お気に入り数」「被リプライ数」などの高い投稿は、詳細を確認しよう。

特にフォロワーからのリアクションが多かった投稿の傾向を知ることで、どのような投稿が歓迎されるのか傾向が徐々にわかってくる。

つぶやきデスクの管理画面

フォロワーが多いユーザーにリツイートされると拡散効果は大きい

各投稿の「詳細」をクリックすると、「非公式RT」「公式RT」をしたユーザーが、フォロワーが多い順に表示されているのが確認できる。自社の投稿を拡散してくれるフォロワーが確認できるので、必ず確認しておこう。

筆者も確認してみたが、RTなどはしてくれていても、普段からITや教育に興味があるユーザーばかりではない点は意外だった。

つぶやきデスクの管理画面

どのようなフォロワーがリツイートなどをしてくれるか、分析とともにユーザーへの感謝や対応をしよう

「非公式RT」「公式RT」をしたユーザーは、アイコンをクリックするとプロフィールや過去の投稿などが確認できる。プロフィールや投稿だけではわからない、自社フォロワーの属性や興味関心が確認できる。

自社商品・サービスなどに関する投稿をしていた場合は、感謝の投稿などをするといいだろう。毎回自社投稿にリアクションしていた場合は、特に重要なフォロワーということがわかるので、リストなどを作って入れておくのがおすすめだ。

「フォロワー分析」も見るべき場所だ。一般ユーザーは自分の興味関心でフォローすればいいが、企業アカウントの場合はフォローしてくれたユーザーにはフォロー返ししておくべきだ。

「フォロー」という行為は相手に興味関心を持っている証なので、企業アカウントからのフォロー返しは大抵のユーザーは歓迎するはずだ。ただし鍵アカウントの場合は、投稿は読みたいが読まれたくない可能性が高いので、あえてフォローしない方がいいだろう。

つぶやきデスクの管理画面

「フォロワー分析」画面。フォロー管理、ユーザー分析などできることは多い

特にリツイートなどをしてくれているアカウントが「自社フォロワー」、つまりフォロー返しが済んでいない場合は、フォローし返して「相互フォロー」にしておきたい。このようなツールを使うことで見逃しがなくなるだろう。

「最終ツイート日」からは生きたフォロワーかどうか、「ツイート数」からは活発さがわかる。

そのユーザーがどれくらい頻繁にリアクションしてくれているかは、通常ではわからず見逃しがちだ。ところが、「公式RT」「非公式RT」「リプライ」欄からは、過去の公式RT、非公式RT、リプライの総数がわかる。

つまりこの数が高いユーザーは、自社に特に関心が高いということになる。このようなユーザーは特に大切なユーザーとなるので、忘れずにチェックしておきたい。

なお「F/F比」では、フォロワーが多い影響力のあるアカウントが見つけられる。またどの欄でも共通することだが、上部の三角マークをクリックで逆ソートできるので、活用したい。