ブランド横断型でSNS運用を支援!SNSで世の中の空気を感じて製品づくりにも活かしたい【導入事例:ネスレ日本株式会社様】

コーヒーの「ネスカフェ」、チョコレート菓子の「キットカット」、ペットフードの「モンプチ」など、多岐にわたる分野で我々の生活に馴染み深い商品を展開しているネスレ日本株式会社。

同社ではつぶやきデスクを2019年より活用しています。マーケティング&コミュニケーションズ本部 コンシューマーリレーションズ部 黒沼透氏にSNS運用についてお話をうかがいました。

■ブランド横断型でSNS運用を支援する「SNSチーム」を設立

ネスレ日本のコンシューマーリレーションズ部の業務内容についてお話ください。

黒沼氏:コンシューマーリレーションズ部は、お客様(消費者)と直接コミュニケーションを行う部署で、コールセンターなども含まれます。私が所属しているのは、いわゆるVOC(Voice of Consumer)の部署で、お客様の声を聞いて、社内の各ブランドチームに届ける役割を担っています。

各ブランドには、それぞれのマーケティング担当者がいますが、コンシューマーリレーションズ部はブランド横断型でお客様と接するファンクショナルユニットです。

私の担当するSNSチームも同様に、各ブランドのマーケティング担当者を支援するような立場です。私がそのチームマネージャーでメンバーは私を含めて5人です。このチーム体制ができたのは、2020年の始めからです。

私は4年前にSNSのプロフェッショナルとして入社し、SNS分野での社内コンサルタントのような立場で各ブランドを支援してきました。

しかし単純にSNSの活用支援というだけでは、ビジネスへの貢献度合いが低いと考えていたので、もっと業務領域を広げて支援できるように、新しくチームとして動ける組織体制を作りました。

SNSチームは黒沼さんが主体的に作った部署なのですね。

黒沼氏:ネスレはオープンな会社なので、会社にとってよいことであれば、前例のない取り組みでも反対せず応援してくれるので、組織づくりはやりやすかったです。

現在のチームメンバーは、コンシューマーリレーションズ部のメンバーから選ばれました。

コンシューマーリレーションズ部のメンバーは、皆カスタマーサポートなどを通して、お客様と直接対話をした経験があります。

SNS運用も、デジタル上でお客様とやり取りする仕事ですので、それがオンラインか、オフラインかという違いがあるだけです。

SNSチームのメンバーは、新しい取り組みや未経験の仕事でもストレスに感じない人が望ましいと考えています。SNSは仕様が変わることも多いですし、新しいプラットフォームも次々登場するからです。

私も、チームメンバーが新しいことに挑戦する時に、「失敗したらどうしよう」と考えこんで足を止めてしまわないようにケアをしています。

過去に経験した人がいないことに取り組むことで経験値を積めることは、メンバーの強みになると思います。

■SNSにもっとも詳しいチームとして、ブランドを支援

SNSチームが各ブランドの運用を支援しているということですが、具体的にどのような支援をしているのでしょうか?

黒沼氏:ブランドのSNSアカウントのオーナーシップは各ブランドのマーケティングチームにあり、運用方針はそれぞれです。メンバーが自分たちで投稿を考えているチームもあれば、外部のパートナー企業と一緒に運用しているチームもあります。

私たちSNSチームは、それぞれのブランドごとにSNS担当者を用意し、アカウント運用へのアドバイスをはじめ、応対やSNSキャンペーンの企画・サポートなど、ブランドのSNS関連のマーケティング全般を支援する立場です。

支援内容は大きくわけると3つあります。

1つは、アクティブサポートです。毎日、ブランド名を含むツイートをすべてチェックして、返信、いいね!などをしています。

もともと、コンシューマーリレーションズ部では、商品の不具合をツイートしていただいているお客様やコーヒーマシンの使い方に困っている方がいれば、サポートの一環として相談窓口や対応方法のご案内を返信していました。

クリックで拡大します

私達が担当するようになって、ネガティブなツイートだけでなく、ポジティブなツイート、例えば「キットカット食べて元気出た」などのツイートをしている方にも、話しかけるようにしています。

ツイートが多いブランドでは1日に数千件ツイートがありますので、全部には返信できませんが、できる限り話しかけて1:1のコミュニケーションをしています。全ブランドあわせると年間2万件以上話しかけています。

返信する前にブランドのマーケティング担当者が内容をチェックして承認する場合もありますし、私たちが返信内容を決める場合もあります。

2つ目が調査業務です。ブランドから「自分たちの製品がいまSNS上で、どのように話されているか知りたい」「競合の商品に対する反応を知りたい」といった要望を受けて、SNS上の発信を分析してレポートしています。

会社の中には、本格的な調査が可能なマーケティング情報部という部署がありますが、SNSチームへの調査依頼はクイックに対応できるユーザー調査として活用されています。

クリックで拡大します

1つ目の内容とも関連しますが、毎日製品の関連ツイートをすべてチェックしているので、ブランドに対するつぶやきに変化が起きた時に一番に気付けるのも私達のチームです。

ネガティブな声であればすぐに対応が必要ですし、食べ方の新しいアレンジが話題になっているということがわかれば、その情報をマーケティングチームへ伝えています。

ブランドから、「今日なにかあった?」と聞かれた時に、すぐにSNS上の動きをインプットできるようにしています。

3つ目が、キャンペーン関連の支援です。キャンペーンを実施する時に、その投稿内容などを見て、より盛り上がるようなアイデアを提案します。例えば、先日「香味焙煎」のパッケージのリバイバルが行われたのですが、それに関連したキャンペーンが行われました。

クリックで拡大します

過去のパッケージを復活させて往年のファンに訴求しつつ、まだ「香味焙煎」を試したことがない新しいユーザーに対しても「香味焙煎」の香りについて知っていただくための施策でした。

Twitterキャンペーンの当初のハッシュタグは「#香味焙煎リニューアル」といった一般的なワードだったのですが、よりTwitterの文脈にあうように「#香りすごいらしいよ、香味焙煎」というタグに変更しました。

ハッシュタグを見た時に「なんだろう」と興味をもってもらえるように、伝聞調の表現にしたところ、このハッシュタグがTwitterトレンド入りし、キャンペーンの露出量も普段の約2倍になりました。

ほんの一手間を加えることで、キャンペーンの拡散力が変わることがよくわかりました。

■キャンペーンに落選した人とも、DMでコミュニケーションして関係を作る

最近気になるトレンドはありますか?

黒沼氏:好きなアイドルやゲーム、マンガなどの「推し活」が話題になっていますよね。新しくブランドのファンになっていただく方を広げたい時、どのようなコンテンツと組み合わせれば話題が広まるかを考えるのに、ファンの皆さんのSNS上での熱量を参考にしています。

私たちの製品を知っていただきたい対象のユーザー層が近ければコラボすることもありますし、逆に競合他社がどういったコンテンツとコラボしているのかを調べたりもしています。

他社のコラボ事例を見ていると反応の違いがあるので、推し活する人やブランドのファンに喜んでいただくためのコラボはどういうものがいいのか、知見を貯めているところです。

つぶやきデスクは、1年ほどご利用いただいていますが、どういう経緯で導入を検討したのでしょうか?

黒沼氏:キャンペーンの参加者にDMの一斉配信ができるツールがなくて悩んでいました。他社のSNSキャンペーンの事務局担当者に相談したところ、つぶやきデスクを使っているという人が多かったので、導入を決めました。

クリックで拡大します

一斉配信を重視したのは、たくさんの人とコミュニケーションをとりたいと考えたからです。通常、キャンペーンは参加者が数万人いても、直接連絡するのは当選者だけですよね。

抽選に外れた人も、ブランドに多かれ少なかれ関心を持っていただいた人ですから、こちらからコミュニケーションをとりたいと考えました。

例えば、同時期に開催されている他のキャンペーンを案内したり、プレゼント抽選には外れたけれども特別に用意したお得な購入プランをご案内するなど、ブランドとの良い思い出、記憶を残していただければと期待しています。

キャンペーンによりますが、1日に3万件のDMを配信することがあります。抽選に外れた人にメッセージを送ると、「外れたのに連絡してこないで」という方もいらっしゃいますが、全体の中ではごく少数です。

「次のキャンペーンに応募します」、「特別プランで購入します」、というように好意的なメッセージを返してくれる方も多いので、続けていきたい施策です。

つぶやきデスクのサポート体制はいかがですか?

黒沼氏:困ったことがあったときに、連絡するとすぐに返信をいただけるので、そのスピードに驚いています。

SNSはプラットフォーム側のAPI不具合などで急に使えなくなったりすることがあるので、その問題の原因をすぐに調べて対応していただけるので、安心して使えます。

■SNS以外のコミュニケーションの場に人が集まるならば、そこにも参加していきたい

SNS運用のコツはなんだと思いますか?

黒沼氏:Twitterの反応やツイートされている内容を見ていると、当たり前ですが、SNSの空気は世の中の空気を色濃く反映していると思います。

私達はSNSを見ているようで、実は世の中を見ているのだと思います。

SNS上の投稿を広く見るからこそわかる世の中の雰囲気を、ブランドチームにインプットしていくことは非常に重要だと思います。

クリックで拡大します

私達の役割はアカウントのエンゲージメントを高めることはもちろんですが、ブランドにとってのSNSを通した世間とのインタフェースでありたいと思っています。

世間の空気をSNSで感じとって、ブランドのマーケティングに素早く取り入れることができれば、SNS上のコミュニケーションだけでなく、コミュニケーション設計全般や、製品づくりに活かすことができます。

世の中の状況をブランドチームが正しく理解して、世の中の空気にあった製品を出し、ズレの少ないコミュニケーションを行う、それが結果としてSNSで盛り上がる、というような循環になるといいなと思います。

今後やってみたい施策などはありますか?

黒沼氏:新しいSNSやプラットフォームに対応していきたいですね。「キットカット」では、TikTokのアカウントを運用していて、メンバー手づくりの動画をアップしたところ、想定以上に反応があり人気になりました。

他に気になっているのが、SNSに限らず、コミュニケーション機能を持っているプラットフォームです。

最近は、ゲームの「フォートナイト」が特に若年層に人気で世界3.5億人を超えるユーザーがプレイしています。

これは小さめのSNSとユーザー規模は変わりません。彼らがフォートナイトをやっている間は当然SNSを使っていないので、私たちはSNSを通してコミュニケーションできないということになります。

私たちとしては、SNSに限らずフォートナイトのような新しいプラットフォームに対してもどう入っていくかも考えてみたいです。

もし今使われているSNSプラットフォームが使われなくなっても、ユーザーがいるところ、消費者がいるところに、そこで楽しんでいる方たちの迷惑にならないように注意しながら、ブランドも一緒に楽しんでいくようなアプローチを考えていきたいですし、新しい取り組みにチャレンジしていきたいですね。